1998年。砂原良徳氏が「TOKYO UNDERGROUND AIRPORT」という凝った装丁の限定12インチ(常盤響デザイン/現在は廃盤)をリリースし(その後、エアポートサウンドの大定番となる名盤「TAKE OFF AND LANDING」「The Sound of '70s」等に続く)、ピチカートファイヴがベスト盤で空港グラフィック関連のオマケを封入し、
スタジオボイス誌
が初めて空港をグラフィック的な切り口で紹介した(当時僕はこの特集で夢中になったが、今見ると、グラフィック系はセーフティー・オン・ボードぐらいで空港の雰囲気を追うモノが多い。しかしそれが秀逸)。それ以前にもエアポートグラフィックを紹介している雑誌や本はあったが、デザイナー趣味的な感覚で紹介されだしたのは恐らくこの年が幕開け。

それから数年はセーフティー・オン・ボード系と垂直尾翼等をモチーフにしたエアライングラフィックが蔓延。そして、ノイエグラフィックなどをリリースしていた出版社Glyph(グリフ)が2003年に決定的とも言えるフライトチケットなどを集めた名作本「Departure」を出版。これが現在のエアポート・エアライングラフィックブーム(?)の火付け役となった(と思う)。

AIRSの音楽レーベル「AirsPort」ではエアポートジャケットの最高峰を目指して、2004年9月に、表裏合わせて10面のパノラマデジパック仕様でコンピレーションCD
「AirsPort Terminal 01: Wanderlust」をリリースした(こちらで試聴&購入できます。ジャケデザインはこちら)。今回の「RESPECTS」ではそのジャケ制作で参考にしたエア本を中心に紹介していきます。

   
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2001年/アスペクト


飛行機マニア用ではなく「エアポートグラフィック」としてまとめ、フューチャー感覚を持ったおそらく最初の一冊。ファッショナブルにポーズをキメる60〜70年代のスチュワーデスやモダンリビング的な機内の様子など渋谷系を意識したような写真が満載。最初は輸入本で発売されていたが、人気があったのか1年遅れぐらいで日本語に翻訳され再リリース。お世話になりました。



  Departure
2003年/Glyph/絶版


フライトチケットやバゲッジタグをセンス良くまとめた(おそらく)最初の本。人気のパンナムはもちろんのこと、スイスエアーやルフトハンザが秀逸。掲載されているチケットなどはGlyphの柳本氏が実際に集めたものらしく、多少の使用感があり、それがさらに「Wanderlust」を掻き立てる。AIRS所有のこの本は熟読しすぎて、すでにボロボロだが、こういった本はキレイに読んで、本棚を飾る本ではなく、常に手許に置き、ボロボロになるまで眺めるための本。フライトチケットを模した版型も素晴しい。また、続編の「Transit」や、地下鉄・バスのチケットや路線図を集めた「Mind The Gap」も2004年に発売されている。どれも最高。


  ON AIR 1933-2003 Une histoire d'Air France
2003年/France/絶版


パリ広告美術館で開催された「エールフランスの歴史展 ON AIR 1933-2003」のパンフレット(これは大型版。小型版も存在する)。コンピCD「Wanderlust」のジャケをデザインする際に最も参考にした一冊。写真はもちろんのこと、当時のポスターデザインや食器、スチュワーデスのユニフォーム、ブラニフも少し掲載されている。タイトルの「ON AIR」を見た瞬間に激しく共感し購入(ウチのドメインはwww.on-airs.com)。できることならこの展覧会も見たかった。日本では開催されていない。


  AIR WORLD
2004年/Vitra Design Museum


2004年12月現在のエアポート・エアライン本の最高峰!(だと個人的には思う)現在もヴィトラ・デザイン・ミュージアムで開催されている「エア・ワールド展」の公式カタログ(展覧会はヨーロッパ等を巡回予定。日本でも是非)。表紙はプラスチックのエンボス加工でむちゃくちゃカッコよく、収録されている写真、資料、レイアウト等どれをとってもパーフェクト。内容はアメリカ・ヨーロッパの航空会社のロゴから、機内写真、空港建築、ポスター、ユニフォームなど他の書籍と同様だが、写真の選定がグッドセンス。これ一冊で何作品か作れそうです。というか作ります。


  BRANIFF AIRLINE EXPO VISUAL BOOK
2004年/Glyph・Braniff International


2004年9月から順次、日本全国で開催されている「BRANIFF AIRLINE EXPO」のパンフレット。価格を押さえるためか、簡易的な作りだが、さすがGlyphが監修しているだけあって内容は素晴しい。当時のポスターやチケットを始め、タグ、エンベロープ、
コンセプトまでどれをとっても最高。特にブラニフ航空の素晴しさは「The end of the plain plane.(退屈な飛行機にさよなら)」という素敵すぎるキャッチフレーズですべてが表現されている。AirsPortでは「The end of the plain disc.」を目指してます



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2004年/エイ出版社

ブラニフの展覧会開催に合わせて出版されたムック。しかしムックとはいえ、あなどれない充実ぶり。「グッズコレクション」と銘打つだけあって、エアグッズの量は多く、個人的にはポスターやペーパーアイテム、各航空会社のシート&インテリア、コレクターズグッズなどの紹介がソソる。もちろんブラニフ航空に関しても収録。全体的にグラフィックデザインとしての視点が強いわりに安価なのでおすすめ。編集も“分かってる”感バッチリ。同じエイ出版社から出ている「世界の旅客機モデル」というムックもおすすめ。


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2004年/PIE BOOKS

デザイナー御用達のPIE BOOKSから上記の「エアライングッズコレクション」とほぼ同時に発売されたエアデザイン本。掲載されているポスターやチケット、グッズなどは割と近年(または現行)のモノが多く、60-70年代モノは少しだが、他誌との差別化という点で◎。しかし、エアラインデザインのCDジャケットの代表としてはなぜかト○ーが。砂原良徳でしょ、普通は。この辺りがちょっと残念だが、数少ないエア本としては貴重。ここでもブラニフの特集が組まれている。


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2003年/CD+BOOK/マガジンハウス


2003年5月にエールフランスのコンコルドの就航が終了。その記念に出版されたカーサ・ブルータスの特別編集本+CD。表紙アートワークはグルーヴィジョンズ。本自体のレイアウトや写真は美しいが、36ページというのがちょっと寂しい。オシャレ絵本みたいな感覚。これは本というよりもCDがメインなのだろうか。そのCDの方はいわゆるチルアウト系の音楽。買った時は大して期待していなかったが、割と好きかも。ただこういう本とCDという体裁には弱い。